先日、掛川出身のピアニスト・今田篤さんのコンサートに行ってきました。
会場のティーカルチャーホールは、もともとお茶の蔵だった建物をサロンにリノベーションした空間で、天井が高くて音の響きがとても柔らかく、まるで教会みたいな雰囲気。
そこに、蓋の裏に金の装飾が施された、ベーゼンドルファーのModel 225(ヨハン・シュトラウスモデル)が静かに佇んでいました。
演奏されたのは、シューマンの《子供の情景》や、ベートーヴェンの《月光ソナタ》、幻想曲Op.77、そしてシューベルトやブラームスなど、古典派からロマン派にかけての名曲たち。
今田さんの演奏はいつも、作曲家の意図をすみずみまで読み取った深い解釈に、高度なテクニックと精密で豊かな表現力が合わさっていて、気づいたら時間があっという間に過ぎてしまいます。
そして何より好きなのが、今田さんの弱音の美しさ。
まるで粒のそろったベビーパールが転がってくるような、繊細で優しい音色。
サロンならではの距離感と空気感も相まって、特別な時間になりました。